小林アツシ「武器輸出三原則」学習会
   「武器輸出三原則を考える
        〜戦争をする国にしないために〜」
と き:2012年5月26日(土)18:00〜20:00
ところ:鹿児島市「よかセンター第1会議室」


講 師  小林アツシ さん (日本電波ニュース社)

  武器輸出三原則緩和を許さない!

 野田政権は「国是」とされてきた武器輸出禁止三原則の更なる破壊に踏み込もうとしています。「@米国や友好国との国際共同開発・生産への参加A自衛隊がPKOなどの海外派遣で使用した武器の人道目的や平和構築目的での供与」を可能にするというもので、27日の安全保障会議と閣議で「決定」し、藤村官房長官談話の形で発表しました。
 あたふたと国会の審議や社会的議論もないままに、一方的に「武器輸出3原則の見直し」と称して、ほぼ45年間にわたってわが国の「国是」とされてきた平和原則を放棄するに等しい決定をしたことに、心からの憤りをもってこれに強く抗議します。
 今から、5年前自民党の阿部政権下で、米軍再編と憲法「改正」問題が取りざたされていたとき、2007年5月3日を考える上映会と講演会を開催しました。今日の武器三原則緩和の動き、憲法審査会の始動の動きを考える上でも参考になると思います。
 その当時、鹿児島では、新聞報道によると、米艦載機を岩国基地へ移駐させる計画に伴い、鹿児島県鹿屋市への米軍空中給油機訓練移駐に加えて、恒常的な空母艦載機の離着陸訓練場として馬毛島(西之表市)が候補地であることが明らかになりました。
 日米両国政府は、2006年5月、在日米軍再編に関する最終報告を明らかにし、改編される基地を抱える地域の理解の得られないまま、これを強引に各自治体に押し付けようとしていました。
 政権が変わっても、同じ事がいま強行されようとしています。

 上映したドキュメント映画『基地はいらない、どこにも』(映像ディレクターの小林アツシ編集/日本電波ニュース社)のなかで、
 鹿屋(鹿児島県)の女子高生が、「米軍は鹿屋にいらないと言うことも大切だけど、米軍基地を沖縄に押しつけ続けるのではなくて別の方法はないのか、鹿屋の人達に考えてほしい」ってインタビューに答えて発言しています。これは象徴的な話だと思うんです。つまり、今回の米軍再編に対するヤマト(本土)での運動は、基本的に「こっちに来るな」っていう側面が大きいでしょう。でも、苦しんでいる人であればあるほど、じゃあ沖縄に基地を押し付けていいのか、ということに気づきはじめていると思います。もちろん前から気づいている人はいるけれども、そう思う人が増えてきたのではないでしょうか。」
と、ふれています。
 2007年5月3日「米軍再編 基地はいらない」小林アツシ講演会(要旨)
<米軍再編が憲法改悪を要する>
 
2006年の給油機移駐反対の鹿屋集会はKTS鹿児島から映像を分けてもらったが、そこで女子高生(――鹿屋女子高・土橋愛さん)が言う「沖縄にいらない、ヤマトにもいらない」との視点は重要だ。いま沖縄・辺野古で環境アセスメントが強行されようとしている。安倍首相が「集団的自衛権」研究の有識者会議を始める。訪米してブッシュ大統領と会うにあたり、辺野古や有識者会議を急いでいると言える。「米軍再編」を進めると憲法を変えなければならなくなるというのがこのDVD作品の結論だ。
 1997年の「日米新ガイドライン」が最初であるが、「米軍再編」は自衛隊再編でもあり、日本に海外派兵をさせるべく、神奈川・座間にはそのための「中央即応集団」司令部を作る。自衛隊基地や民間の港(空港も)に米軍が入って来る。在沖縄米軍司令官は「対テロの長期戦に自衛隊が行ってくれる」と発言、またインターネットで印刷出来る、アーミテージ・レポートは「日本の改憲の議論を歓迎する」と明記。この「歓迎」の文言の見出しはじつは「勧告」とある。これが本質である。


<集団的自衛権の行使をさきに認めさす>
 DVD「米軍再編 基地はいらないどこにも」で述べたが。アメリカに向かうミサイルを打ち落とせないかを研究すると安倍首相は2006年12月に『ワシントン・ポスト』紙で発言した。集団的自衛権・有識者会議のメンバー、葛西敬之・JR東海会長が「憲法改正の前に解釈で出来ることはやる」と明言、ここでも自衛隊の拡大と同様、実態を先に作って、改憲をせざるを得ないようにする構えだ。ミサイル問題は難しく聞こえるから利用しやすい。地元の鹿児島県・甑島にはレーダー基地がある。築城・入間・5月1日に日米「2+2」協議が開かれたが、ここでミサイル防衛構想を前倒しにさせると決まった。
 北朝鮮はミサイルを撃ったら「体制が終わり」と知っている、上の指導者(金成日)は体制維持が最大目標、一方、日米は北が撃ってくると言うことで沖縄・嘉手納や甑島にミサイル基地を建設出来る。すでに米軍に宇宙攻撃軍司令部が出来ている。空から攻撃する「宇宙軍拡」が進む。ラムズフェルド長官は「宇宙のパールハーバーを防ぐ」とも発言している。このため米国や日本では三菱重工は儲かるが、国民には莫大な税負担となる。


<馬毛島はどう利用されるのか>
 鹿児島県西之表市・馬毛島に訓練場を造ると言うが、米軍の神奈川・厚木海軍飛行場はなぜあるかというと海外の唯一の空母母港・横須賀から母艦が出航する際に「タッチ・アンド・ゴー」訓練をその艦載機は日夜で繰り返さないとならない。一時、三宅島を候補地としたが住民の激しい反対で出来なくなった。硫黄島で訓練していたが、遠いので山口県岩国基地に艦載機を移動させ、九州南部でタッチ・アンド・ゴー訓練をやることになった。その候補地に馬毛島が急浮上している。
 この島を1980年4月に馬毛島開発会社が買い占めている。一私企業の所有ゆえ反対運動は大変だが、いま900メートル滑走路があるが、2006年初めには4000メートル滑走路を造ると発表した。ちょうど米軍再編と機を一にする。今年3月15日『南日本新聞』に立石社長のインタビューがあり、空母艦載機の話は“ビジネスチャンス”、厚木基地よりも騒音は少ないと発言している。

<米軍再編による鹿屋基地の利用>
 
さいごに鹿屋の給油機移駐問題について述べたい。『日米同盟――未来のための変革と再編/ロードマップ』では、岩国を基本とするが、グアムと鹿屋もローテーション展開することになった。結局、米軍は岩国に移駐を第一とすると言いつつ、厚木も鹿屋も米軍の思うとおりになった。米軍というのは、住民が猛反対しなければどんどん広がる性質をもつ。横須賀の反対運動が掲げたプラカードにあったように「どこでも基地は要らない」と言わなければならない。2014年まで続く「米軍再編」を一人なっても反対とどこでも言い続けなければいけない。

 武器輸出三原則問題での資料を掲載します。
武器輸出する「普通のダメな国」でいいのか 〜なし崩しに進むミサイルの第三国輸出を止めよう!〜
                            杉原浩司(核とミサイル防衛にNO!キャンペーン)

民主主義なき政策転換
 いったい新防衛大綱をめぐる昨年末のあの騒ぎは何だったのか。この国の政治は、議論なきままに重大な政策転換がなされていくという危険な状態が常態化して久しい。さる6月21日に開催された日米安全保障協議委員会(2プラス2)で発表された共同声明に、日米共同開発中の迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」の第三国輸出の容認が盛り込まれてしまった。
 それ以前に、国会や政府内で議論が行われた形跡は皆無である。いったい誰が何の権限で決めたというのか。これでいいはずがない。
 日本の「国是」の一つとされてきた武器輸出(禁止)三原則は、長年、軍需産業や国防族議員にとって怨嗟の対象となってきた。2010年12月の新防衛大綱の策定は、連中にとってまたとないチャンスとなっていた。長島昭久衆院議員(現首相補佐官!)ら新国防族が民主党内の議論のイニシアチブを握り、外交安全保障調査会の提言をまとめようとした。しかし、さすがに党内護憲派でつくる「リベラルの会」による反対論が顕在化した。 
 この時、長島議員や北澤防衛相(当時)の口からは驚くべき暴言が飛び出した。「武器輸出三原則は国是ではない」。一昔前なら、即辞任ものだ。しかし今や、こうした言いたい放題がまかり通るようになってしまった。
 長島議員らは強引な集約によって三原則大幅緩和の道をつけようと図ったが、ぎりぎりの局面で、市民の運動や福島瑞穂社民党党首による直談判なども功を奏して、菅首相(当時)は、新大綱への三原則大幅緩和の明記を見送った。しかし、「(兵器の)共同開発への対応策を検討する」との文言が盛り込まれ、緩和への入り口が残された。
 6月の防衛官僚主導のなし崩し的な武器輸出解禁の動きは、その糸口を利用したものである。しかも、当時菅首相が政治的危機状態にあったため、政権が変わって混乱する前に、道筋をつけてしまおうという魂胆があったとされている。民主党政権が当初高く掲げた「政治主導」は雲散霧消し、自民党時代と何ら変わらぬ防衛官僚による独断的な政策決定が再びまかり通っている。

新欧州MDの要としてのSM3  
 果たして日本社会において、迎撃ミサイルの第三国輸出解禁の重大な意味がどれほど自覚されているのだろうか。あのウィキリークスが暴露した米国公電に明らかなように、この動きは米国の軍事戦略の中にがっちりと位置づけられたものである。米オバマ政権はチェコの民衆の頑強な抵抗とロシアによる強硬な反対に直面して、2009年9月、当初の欧州MD計画(チェコにレーダーを、ポーランドに迎撃ミサイルを配備)からの撤退を余儀なくされた。そして、EPAA(欧州多段階応用アプローチ)と呼ばれる新たな欧州MD計画を発表した。その新構想の柱として位置づけられているのが、SM3という迎撃ミサイルなのである。従来は海上配備型としてイージス艦に搭載する形だったSM3を地上配備型にも改良して、海と陸にSM3を展開させる。計画は4段階となっており、陸上配備型のSM3ブロック1Aは2015年までのフェーズ2で配備される。現在はルーマニアを受け入れ国として交渉が行われているという。そして、2018年までのフェーズ3で、日米共同開発中のSM3ブロック2Aの配備開始が想定されている(注1)。また、SM3ブロック1Bも地上配備されることになっており、既にポーランドと米国が受け入れ合意を2010年に成立させ、2011年4月に正式調印が行われた。なお、SM3ブロック2Aの開発(先端部を保護する「ノーズコーン」などの開発を担当)に携わる主契約企業は、日本最大の軍需企業である三菱重工である。

歯止めなき武器輸出の道へ  
 ここで目を日本に転じてみよう。9月13日の読売は「もう緩和の結論を出す時だ」との社説を掲げた。民主党の前原誠司政調会長が9月7日に米国で講演し、三原則見直しを主張したことを受けてのものである。前原氏の主張は目新しいものではない。しかし、野田新政権のもとでの党政調会長という権力を保持する彼の発言は、極めて危険なものである。そもそも、あの「尖閣」問題における強硬姿勢によって、中国との緊張拡大の原因を作ったのは前原氏その人であった。軍需産業のラブコールを背に受けて、前原氏は「極めて早急に議論しなければいけない。党内でも防衛部門などでしっかり議論してもらう」(9月10日のBS朝日の番組)と述べた。
 読売新聞は言う。「日本から防衛技術を移転する際は、相手国の厳格な輸出管理策を条件にすることで、紛争当事国などへの流出を防げるはずだ」「テロや海賊対策のための武器輸出も、世界平和に役立つものであり、全面解禁していいだろう」。なんとまあ大雑把な話だろうか。読売だけではない。6月21日の「2プラス2」共同声明にはこう書かれている。「米国政府から今後要請され得るSM3ブロック2Aの第三国への移転は、当該移転が日本の安全保障に資する場合や国際の平和及び安定に資する場合であって、かつ、当該第三国がSM3ブロック2Aの更なる移転を防ぐための十分な政策を有しているときには、米国に対する武器及び武器技術の供与に関する06年6月23日の交換公文に従い、認められ得る」。前段などは極めて恣意的で基準とも呼べない代物だ。そもそも、イラク戦争やアフガニスタン戦争への加担の事実から見たとき、米国やNATO諸国は「立派な」紛争当事国ではないのか。
 防衛省や民主党の外交安全保障調査会が昨年の新大綱策定時に想定していたのは、米国に向けて空けた三原則の大穴を、「国際共同開発」の名のもとに、19ないし26ヶ国へと一挙に拡大するものだった。その基準が前提としている「国際的な武器輸出管理レジーム」とは極めて脆弱であり、「紛争を助長しない」との三原則の根本理念を担保するものとは到底言えない(注2)。その証拠に、「アラブの春」と呼ばれる中東、北アフリカにおける民衆蜂起の中で、イギリスやドイツ、米国など欧米諸国が強権的な独裁政権に対して武器輸出を行い利益を得ていたことが厳しく告発されている。
 日本は米国の軍事戦略に組み込まれた武器輸出に進み出て、軍拡競争の舞台へと参入する道を選ぶのか。そしてその先に、非人道的な武器輸出にいそしむ「普通のダメな国」に成り果てるのか。果たしてそんなことにうつつを抜かしている場合だろうか。

「同盟神話」から脱却を
 あの「9・11」から10年が過ぎた。米国の「対テロ戦争」の成れの果ては惨憺たる様相を呈している。米ブラウン大ワトソン研究所の試算によれば、米国の対テロ戦争における支出総額は最大4兆ドル(約307兆円!)に達するという。死者数は米兵やイラク、アフガニスタンの治安部隊など兵士が計3万1741人。民間人はアフガニスタンとイラクを合わせて計17万4500人と推計している(毎日、9月5日)。
 300兆円が真に人間や自然が生き延びるために使われていれば、どれほど世界には希望が生まれたことだろうか。日本はこうした米国との軍事同盟に今なおしがみつき、武器輸出協力という新たな道にさえ踏み込もうとしている。
 東京電力福島第一原発の巨大事故は、「原発安全神話」のまやかしを過酷な現実をもって明るみにした。一方で、なぜこれほどの悲惨を作り出している米国に付き従い続けるのだろうか。「同盟神話」のデタラメを直視して、前原氏とは真逆の方向性を明確な形で示すことが必要だ。
 8月11日、地球上のどこでも1時間以内に攻撃できるという通常兵器開発に向けた、米国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)による無人実験機の試験飛行が失敗したと報じられた。無人機をはじめとするロボット兵器の開発も含めて、米国の軍産学複合体による危険な増殖運動に、日本も徐々に組み込まれつつある(注3)。しかし、事実がきちんと伝えられれば、そうした道を選ぶ人々が多数派だとは到底思えない。
 民主主義なき政策決定という危険な暴走に、何とかして歯止めをかけることが早急に必要だ。そのために、進行している事実を可視化させる議会内外の連携に基づいた運動こそが求められていると思う。その先にようやく、武器輸出禁止のグローバル化という展望が見えてくるに違いない。

(注1)この間の報道によれば、SM3ブロック2Aの開発と配備は当初計画より遅れると言われている。(注2)川崎哲「危うい防衛論議」(『世界』2011年2月号)
(注3)日本政府は2010年2月、無人偵察・攻撃機の「目」にあたる「画像ジャイロ」装置の日米共同研究に着手している。
                             <初出、『月刊 社会民主』2011年10月号>

マスコミの社説
 [武器輸出三原則] 緩和には流出の懸念も
                     南日本新聞「社説」( 2011年 12/29 付 )
       http://373news.com/_column/syasetu.php?ym=201112&storyid=37352
政府は、日本の防衛政策の基本である武器輸出三原則に基づく事実上の禁輸政策を大幅緩和し、国際共同開発・生産への参加と平和構築・人道目的での装備品供与を解禁する新基準を決定した。
 米国などわが国と安全保障面で協力関係のある国を対象に、防衛装備品などの国際共同開発・生産を進めていくことで最新の防衛技術を獲得して防衛産業の生産技術基盤を維持・高度化するとともに、コスト削減を図ることが主眼である。
 藤村修官房長官は、憲法の掲げる平和国家の理念や三原則は堅持するなどとした談話を発表した。だが、日本の防衛政策を大きく転換しようというのに十分な議論が尽くされたとは言い難く、日本の技術を組み込んだ武器が紛争国に流出する懸念も残る。運用に当たっては慎重な管理が求められる。
 日本の武器輸出三原則は1967年、佐藤栄作首相が国会で(1)共産圏諸国(2)国連決議による武器禁輸国(3)紛争当事国−への武器輸出を認めないと発言したのが基本だ。その後76年には三木内閣が政府統一見解で、その他の国にも輸出を慎むことを決め、全面禁輸政策となった。
 だが、戦闘機などのハイテク装備では、米国が主導する形で80年代から共同出資や分業でコスト削減を図る国際共同開発が本格化していた。 代表的な例としては米国、英国、オランダ、イタリアなど9カ国が参加する最新鋭ステルス戦闘機F35が挙げられる。政府は先にF35を航空自衛隊のF4戦闘機の後継機として選定したが、開発に参加しなかったため1機当たりの平均価格が6500万ドル(約50億円)と、他機種に比べ高額なのがネックだった。
 軍拡を続ける中国が既に第5世代ステルス戦闘機を完成させており、ロシアも開発を加速させる中で、日本の制空権を守るために最高性能の戦闘機が求められていた。今後は無人戦闘機の開発も行われる見通しで、日本が共同開発に参加すればより安価な調達が可能になる。
 政府は、共同開発の相手国に米国や北大西洋条約機構(NATO)加盟国などを想定しており、厳格な管理で第三国などへの流出を防げるとしている。ただ、日本が共同開発に参加した武器を、米国などが戦争で使用する可能性は否定できない。共同開発に際しては、日本の事前同意なく目的外使用ができないようなルール作りも進めておくべきだ。
武器輸出―三原則を緩和するな
                    2011年12月25日、朝日新聞「社説」
      http://www.asahi.com/paper/editorial20111225.html#Edit2
 野田政権が、武器の輸出を原則として禁じる「武器輸出三原則」を緩和しようとしている。週明けに、官房長官談話の形で発表する見通しだ。
 しかし、なぜ、こんな年末のどさくさに紛れるように見直しを急ぐのか。不見識であり、容認できない。
 三原則は、専守防衛に徹し、他国への脅威とはならないという、戦後日本の抑制的な防衛政策の主要な柱のひとつである。
 この平和国家のブランド力の意義、重みを、首相らはどう考えているのか。
 もともと、民主党政権は昨年末にも緩和を図っていた。
 だが国会運営で協力してほしい社民党への配慮から、先送りした経緯がある。そのときも、私たちは時間をかけた慎重な対応を求めた。
 あれから一年、国会でどれだけ議論したのか。国民への説明は、いつやったのか。
 いま、緩和論が浮上する理由は承知している。
 武器のハイテク化に伴い、1国だけでは開発、生産を担いきれなくなってきている。複数の国が連携する共同化が、国際的な潮流になりつつあり、日本も同盟国の米国に加えて他の友好国とも幅広く協調したい、ということだろう。
 米国の期待や、国内の防衛産業の強い要請もある。
 だが、日本はこれまでも、三原則を堅持しつつ、必要であれば、一件一件を吟味し、歯止めを講じながら、「例外」を認めてきた。
 米国への武器技術の供与も、北朝鮮のミサイルを迎撃するシステムの米国との共同研究・開発も、そうやってきた。
 今回の緩和は、武器の共同開発・生産などで、一定の基準を満たすものは、一律に例外扱いする方針のようだ。
 要するに、例外を設けやすくする「例外の普遍化」を図ろうというのだ。
 だが、手がけた武器が、なし崩し的に第三国に輸出される可能性がある。
 一律に例外とする方式では、日本として一貫した方針に基づいて、有効な歯止めをかけられなくなる。
 いま、中国やロシア軍の急速な近代化に対抗する形で、アジア・太平洋地域の軍拡が進んでいる。日本の三原則緩和に関係国の疑心を招けば、この流れを助長しかねない。
 日本外交が優先的に取り組むべきは、不断の対話と相互依存の深化を通じて、地域の信頼醸成に努めることだ。拙速に三原則を緩める時ではない。

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